『さるのせんせいとへびのかんごふさん』
穂高順也文
荒井良二絵
ビリケン出版
2016年を迎えました。 皆様、明けましておめでとうございます。
今年も「絵本」の素晴らしい世界を
紹介して参りますので、どうぞよろしくお願いします。
さて、今年の干支は「さる」ですね。
絵本の世界で有名な「さる」の作品といえば
アメリカの「ひとまねこざる」シリーズと
その後継作品「おさるのジョージ」シリーズですね。
あわせて半世紀の歴史を持つ作品です。
日本では、それに負けない長い歴史を持つ「さるかに合戦」もあります。
また、30年以上愛されている、五味太郎さんの「さる・るるる」などなど。
どの絵本に登場する「さる」も、
コミカルに描かれているのが印象的です。
さて、今回取り合げる絵本は、比較的新しい
1999年の作品「さるのせんせいとへびのかんごふさん」です。
何といっても特徴的なのは、荒井良二さんの「絵」です。
昨年、福岡で開催されていた個展を拝見しましたが
発想の自由さと、型にはまらない描写表現には驚きました。
テレビ出演も多い方ですので、ご覧になった方もいらっしゃるかも。
そんな荒井さんの「絵」の魅力を存分に味わえるこの絵本。
「さる」のお医者さんと「へび」の看護婦さんが主人公です。
穂高順也さんの淡々とした文章と相まって
文句なしに「楽しい」絵本に仕上がっています。
絵本の世界では「さる」も「へび」も、
ちょっとヒネくれたキャラに描かれることが多いですが この絵本では、そんな雰囲気はカケラもありません。
「どうぶつむら」の「びょういん」には
いろいろな「かんじゃさん」がやってきます。
かぜひきさんのキツネだったり、
健康診断を受けるクマのきょうだいだったり、
お腹が痛いブタさんだったり、
最後は、鼻づまりに苦しむゾウさんも。
これらの「かんじゃさん」を救うため
さるのおいしゃさんと
へびのかんごふさんが大活躍。
ネタバレになるので、ここでは書きませんが
「こんな治療アリ?」と驚く
抱腹絶倒な治療が繰り広げられます。
それはもう理屈抜きに楽しいお話しとなっています。
楽しい読み聞かせの時間が過ごせる絵本です。
「さらにこの絵本、
荒唐無稽な内容と思わせながら
治療の部分は、実際に医療で行われている動作を
コミカルに置き換えているだけなのです。
たとえば「注射」も、「注射器」ではなく
「へびのかんごふさん」がしてくれていると思えば
すこしだけ怖さは減るかも。
風邪などが心配な季節。
病院がきらいなお子さんの
心の準備にもなる絵本かもしれないなぁ・・・とも思います。
病院の待合室などにもおすすめしたい一冊です。
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