Dec 01, 2017 絵本コラム

[絵本30]サンタとトナカイの日常を探る(笑)

『サンタのいちねん トナカイのいちねん』
きしらまゆこ 作・絵
ひさかたチャイルド

こんにちは、久保です。
この連載も 30 回目、そして2回目の年越しを迎えようとしております。
毎月、「どの絵本を選ぼうか」と楽しみながら
さまざまな絵本を読んでいますが、
そのなかでも、もっとも楽しいのは、やはり 12 月ですね。
それは、クリスマス向けのカラフルな絵本がたくさんあるからです。

お父さん・お母さんも親しんだ名作から
最近発行されたものまで、たくさんの絵本が書店に並ぶさまは
本当ににぎやかでワクワクするひとときです。

今回も、悩みに悩んで選んだ一冊をご紹介します。
それは、手に取ってページを開くと、ちょっと驚くしかけがある絵本です。

タイトルは『サンタのいちねん トナカイのいちねん』です。
発行は 2008 年と、比較的最近の絵本です。
この絵本、じつは両面が表紙になっています。

片面の表紙は『サンタのいちねん』というタイトル。

そして、裏返したら、なんと、
『トナカイのいちねん』になっちゃいます。

サンタさんの1年と、トナカイの1年、
そういえば、普段どんな日常を送っているのか気になりますね。

本のそれぞれの側からめくって、それぞれの日常を
読んでいくことができるという
とてもユニークな本なのです。

では、まずはトナカイさんの1年を見ていきましょう。

忙しいクリスマスを過ごした後、トナカイはしばらく休眠します。
(ふと疑問に思いましたが、実際の動物のトナカイは冬眠しないのかな?)

そして、暖かい春がやってくると、
なまった体をなわとびで鍛えはじめます。
どうやら、冬に向けて体力づくりをはじめるようです。

一方で、本を裏返して
サンタさんの1年を読み始めます。

せっせと、手紙を書いています。
世界中の子どもたちから送られてくる
「お礼の手紙」に一通一通返事を書いているようです。
トナカイとサンタ、なんだか真逆の過ごし方なのが面白いですね。

そして、お次はそう、プレゼントづくり。
夏から秋は、次のクリスマスに向けた準備が始まるのです。

話がそれますが、
クリスマス関係のお仕事をしている方々には
身につまされるお話かもしれませんね(笑)
ぼくも毎年春から夏に、クリスマス製品のキャッチコピーを考えたりしています。

閑話休題。
さて、秋が過ぎ、冬を迎え、いよいよやってくるクリスマス。

サンタとトナカイは、1年ぶりに再会し、
ともにお仕事に出かけます。

本の両側から読んできて、同じページで二人が出会い
世界の空に飛んでいく姿は、
(本の構造上も、お話上も)ダイナミックで楽しい展開です。

それにしても、普段会っていなくても、ぴったり息が合う仕事仲間っていいですね。
あこがれます。

というわけで、読み聞かせるときっと盛り上がる可能性大のこの絵本、
どんなものにも長い時間の準備があるんだよと
遠回しに教えてくれる(それは深読みしすぎかな・・・笑)
とても勉強になる、楽しい一冊でした。
プレゼントにも、いいですよね。
ぜひ、「人と木」の絵本棚や木製玩具といっしょに贈り物にしては
いかがでしょう?

それでは皆様、素敵なクリスマスをお迎えください♪

Dec 01, 2017 絵本コラム