『トムテ』 リードベリ 詩
ウィーベリ 絵
やまのうちきよこ 訳
偕成社
こんにちは。久保です
いよいよ12月になりました。
慌ただしい年の瀬ですが、今年もあとひといき。
そして、誰もが楽しみなのが、やっぱりクリスマスですよね。
今回ご紹介するのは、クリスマスを題材にしたスウェーデンの絵本ですが
じつは、クリスマスといえば定番のサンタクロースは出てきません。
それは、この本が生まれた北欧の歴史に関係しています。
サンタクロースはキリスト教のクリスマスとともに
世界に広まったキャラクターです。
その時期は、冬の折り返し地点の「冬至」。
じつは世界各国には、この冬至を祝うお祭りがもともと何種類かありました。
スウェーデンやデンマーク、ノルウェーといった北欧の国々の場合は
それは「ユール」と呼ばれていました。
北欧の国々では、ふだんから家の周りを「精霊」が守ってくれていると信じられています。
スウェーデンではその精霊を「トムテ」と呼び
デンマークやノルウェーでは「ニッセ」、フィンランドでは「トントゥ」と呼んでいます。
「ユール」の夜。この妖精に、普段の感謝を込めて食料をあげるというのが
北欧本来の習慣だったそうですが、
同じ時期のお祭り「クリスマス」と「ユール」が融合して
今では、この妖精たちが「贈り物を届けてくれる」存在だと
北欧では伝えられています。
絵本のページをめくってみましょう。
雪に囲まれた農場を、トムテが考え事をしながら歩き回ります。
眠っている動物たち、そしてこどもたち。
夜の美しい光で描かれる農場や部屋の光景。
赤い帽子をかぶった小さな妖精の姿に
こころがゆるやかに和みます。
じつはこの絵本、19 世紀の詩人が書いた美しい「詩」に
60 年代に絵をつけたものです。
ですから、起承転結のある「お話」ではありませんが、
文字を楽しみながら、絵の世界に入っていくという
楽しみ方をする絵本です。
なんとなく、北欧らしい、
ゆっくりとしたクリスマスの雰囲気を感じませんか?
最じつは北欧に行くと、この写真のようなかわいい妖精の飾りをたくさん売っています。
最近は日本の雑貨屋さんでも見かけるようになりました。
今回は特別に、数年前に北欧のデンマークの商店街で見かけた
妖精たちの写真もご紹介しますね。
本屋さんのディスプレイでスキーをする妖精。
ちょっと大きめの、女の子のかわいい妖精たち。
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キリスト教のクリスマスと融合した結果、
妖精たちはサンタクロースを手伝っているという解釈もあります。
このディスプレイは、働く妖精と、ソファーでくつろぐサンタになっています。
もうすぐやってくるクリスマス。
時には、こんな絵本のページを親子でめくりながら
ゆっくりと迎えるのも楽しいと思います。
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