『どうぶつに ふくをきせては いけません』
ジュディ・バレット 文/ロン・バレット 絵/ふしみ みさお 訳
朔北社
こんにちは。久保です。
季節が変わり、そろそろ秋も深まるはずですが
時に暑い日もあって、毎日の服選びにも迷う日々ですね。
ぼくは季節が変わると、以前持っていた服を忘れてしまう性格なので
こういう季節は余計に服を探すのに時間がかかってしまいます。
さて、今回ご紹介する絵本は、その「服」をテーマにした一冊。
題名は『どうぶつに ふくをきせては いけません』です。
ニューヨーク在住の二人組による作品です。
どうでしょう? 海外絵本らしい絵やタイトルと思いませんか?
日本にはたくさん、すばらしい絵本がありますが
海外の絵本、それも比較的最近の絵本には
実験的で斬新な絵本も数多くあります。
時々、それらを読むと、日本にはない新鮮な感覚や価値観を
発見できることもあります。
さて、この絵本、何とも強烈なのは、表紙や内扉(最初のページ:写真)に
登場している「やまあらし」。
着ている洋服が、なんと大変なことになっています。
それ以上に心に残るのは、「やまあらし」の無表情なまなざしです。
この事態がさほど気にならないのか、それともショックなのか、
案外気に入っているのか、読み取れない不思議な表情が、かえって心に残ります。
この絵本、この「やまあらし」のように、
「ふくをきた」さまざまな動物たちが登場します。
「らくだ」
「ヘビ」
「ねずみ」
「ひつじ」
「ブタ」
「にわとり」
「カンダルー」
「キリン」
「ヤギ」
「セイウチ」
「トナカイ」
「フクロネズミ」
そして「ゾウ」・・・
ストーリーはなく、ページをめくるたびに
次々と「ふくをきた」動物が現れます。
テンポよく、コミカルに、さまざまな動物のファッションショー(?)を
眺めているうちに、なんとなく楽しくなってきます。
最後のページにはちょっと皮肉が込められていて
小さなお子様には、まだ難しいかもしれませんが
それでも、何かを感じることはあると思います。
なんとなく、ニューヨークで小さな画廊で見かけた
ユニークな作品が本になった・・ような雰囲気のこの本ですが
中身以外にもしかけがあります。
たとえば表紙の右上に貼ってある丸いシール。
「動物が動物のオシャレについて考える会推薦」とあるので
ネットで調べてみましたが、そういう会は見つけられませんでした。
その下に「NONSENSE BOOK」とあります。
ナンセンスとは文学の世界では
「意味のない」「パロディ的な」として使われる言葉ですから
このシール自体も、お遊びなのかもしれません。
(事実を知っている方がいたらお知らせください)
さらに、巻末の著者紹介も、ちょっとシャレていますし、
この本をつくった動機がわかります。
海外の現在進行形の絵本で、
知らない世界の視点を味わう。
それって、ちょっと素敵だと思いませんか?
最近の記事