『ジャムつきパンとフランシス』
ラッセル・ホーバン 作
リリアン・ホーバン 絵
まつおかきょうこ 訳
好学社
こんにちは。久保です。
今回ご紹介する絵本はアメリカ生まれ。
淡い緑とピンクの表紙が印象的です。
主人公は、表紙に登場しているアナグマの「フランシス」。
ちょっと意地っ張りな女の子です。
どこが、意地っ張りかといいますと・・・。
ある日の朝ごはん、家族そろってのテーブルには
エッグスタンドにのった「半熟卵」が並びます。
おとうさんも、おかあさんも、いもうとも、
おいしそうに卵を食べています。
「あさ、たまごをたべると げんきがでますもの」とおかあさん。
でも、フランシスだけは違います。
卵を食べようとせず、
小さな声で自作の「うた」を歌います。
たまごは きらい だいきらい。
だって、さわるとプルンプルンするし、
なかがヌルヌルしてるんだもん。
たまごは きらい だいきらい。
あたしは、たまごなんか たべなくたって、
ちっとも ちっとも かまわない。
そして、だいすきな「ジャムつきパン」をほおばります。
こんな調子で、食べず嫌いが多いフランシス。
はじめての食べ物はどれも苦手。
おかあさんがお弁当に入れてくれた「チキンサラダのサンドイッチ」も、
友だちの「ジャムつきパン」と交換してしまいます。
食べたいのはいつも「ジャムつきパン」。
そしてまたまた歌うのです。
ビスケットにジャム トーストにジャム
あたしは ジャムが いちばん すきよ。
こんな状況を見かねたお母さんの作戦は、
フランシスの食卓だけ「ジャムつきパン」だけを
朝も、昼も、夜も出すという大胆なものでした。
ばんごはん、家族みんなは、
スパゲッティミートボールをおいしそうに味わっているのに
フランシスのお皿には「ジャムつきパン」だけ。
そして、お母さんの作戦勝ちで、
フランシスは、何でも楽しく食べるようになるのでした。
教訓的なお話の絵本ではありますが、
それでもあまり教訓めいた印象はない、楽しい絵本です。
フランシスの歌うコミカルな「うた」と
食事シーンのおいしそうな描写が
この絵本を特別なものにしている気がします。
とくに食事シーンは、
おなかの空いている時間帯には、
「読むと危険?」かも。
一部引用してみますね。
アルバートは、サンドイッチを ひとくち かじり、
きゅうりの あまずづけを ひとくち かじり、
ゆでたまごを ひとくち かじり、
それからミルクをひとくちのみました。
そして、また たまごに パラパラと しおをかけ、
いまと おなじ じゅんばんで、もう ひとわたり たべました。
どうでしょう。きゅうりのシャキシャキした感じや
ゆでたまごのほわほわした感じ、サンドイッチのふっくら感が
伝わってくるようです。おなか、すきました?
食事はただ栄養を摂るというだけの時間ではなくて、
遠くから運ばれてきた食材の一つひとつを味わい、
つくってくれた人と向かい合う豊かな時間。
そんなことを思い出させてくれる一冊です。
この絵本をお子さんと読みながら、
楽しく食べることの意味を感じてみませんか?
お子さんの好き嫌いにも効くかも・・・。
(あくまで個人の感想です (*?ー?)> )
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