『きょうは、おおかみ』
キョウ・マクレア 文
イザベル・アーセノー 絵
小島明子 訳
きじとら出版
こんにちは。久保です。
今月も素敵な絵本をご紹介します。
「人と木」さんも、ぼくも、活動の基盤は「広島」です。
海の幸にも山の幸にも恵まれた、住みやすい街だと思います。
そんな広島に、絵本の出版社さんがあるのをご存じですか?
それは「きじとら出版」さんという、かわいらしい名前の出版社です。
現在まで4冊の翻訳絵本を出版されておられます。
※2月末に5冊目を発行される予定です。詳しくは公式サイトへ。
代表は、翻訳家の小島明子さん。
2014年2月、翻訳絵本のコンテストで大賞を受賞され、
その時の課題作品が、今回ご紹介する絵本『きょうは、おおかみ』でした。
「深みのあるイラストやお話にすっかり魅了された」にもかかわらず
国内での出版の話はなかなか進まない状況だったそうです。
そこで小島さんは、その年のうちに自ら出版社を立ち上げ、
翌年の2015年にこの本を出版されました。
素晴らしいバイタリティだと思います。
そんなエピソードを持った、カナダ生まれの絵本。
『きょうは、おおかみ』を今月はご紹介します。
登場するのは、お姉さんのバネッサと、妹のバージニアの姉妹。
ある日、目覚めたバージニアは「おおかみみたいに むしゃくしゃ」したきぶん。
「ぐるるる、がるるる」と、お姉さんのバネッサを困らせます。
バネッサお気に入りの黄色い服も「やなかんじ」とバッサリ。
お友達にも、
さえずる小鳥にも噛みつきます。
どうしたら、げんきになってくれるんだろう。
そんな姉の心配もむなしく、
妹はついに「ほっといて!」と
黙り込んでしまいます。
お姉さんは、それでも考え続けます。
「なにか きっと あるはずよ、あかるい きもちに なれること」
すると、おおかみバージニアは一言。
「このそらを とんでいけたら いいかもね」
そしてお姉さんは思いつきます。
妹にとって満足できる「せかい」をつくることを・・・。
(素敵な結末ですが、秘密にしておきます)
なんといっても絵が素敵です。
そのまま飾ったり、雑貨にでもしたい雰囲気です。
優しい印象の手描きのイラストや文字。
そして淡い水彩調の色。
最近、欧米では若い人たちを中心に
こういった雰囲気のアートが人気ですが
それが絵本になった作品は
日本ではまだ少ないと思います。
いつもの絵本に慣れたお子さんもきっと驚くでしょう。
そしてまた、どんなにわがままをされてもくじけずに
妹の気持ちを考え続ける、お姉さんの妹への愛は、心を打ちます。
ぼくにも妹がいますが、もし同じ状況なら、
ほったらかしにして遊びに行くでしょう(笑)
相手を想う、相手に寄り添う。
そんな空気感を伝えてくれる絵本です。
インテリアとして飾るのもいいですね。
妹さんが生まれたご家庭に
ギフトとして贈るのもよいかもしれません。
素敵な絵本と一緒に、
素敵な時間をお過ごしください。
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