『あかり』
林木林 文
岡田千晶 絵
光村教育図書
今年、2017年の「母の日」は5月14日(日)ですね。
今月ご紹介する絵本は、
「母の日」のプレゼントにもピッタリな
心にひびく、やさしい一冊です。
それがこの絵本「あかり」です。
やわらかなイラストの表紙はインテリアとしても
やさしくお部屋を彩ってくれるようです。
ページをめくると
一本の「ろうそく」に灯りがともされます
生まれたばかりの赤ん坊の女の子。
笑顔で見守っている家族。
そして、ほのかな灯りで照らす一本のろうそく。
女の子のお母さんが
娘の心に「やさしい あかりが ともりますように」と
願って作ったものでした。
そう、このお話の主人公は、
オレンジ色の光を灯す、ろうそくなのです。
女の子はやがて成長します。
誕生日をむかえるごとに、ろうそくには火が灯されます。
幸せな日を彩る存在として、
女の子と一緒に幸せな時間を過ごすろうそく。
ろうそくは、寂しい時や
嵐に震える夜にも、そばにいて
あたたかい炎を揺らして、彼女を見守ってくれます。
女の子はだんだんと大きくなり、
ろうそくは、少しずつ少しずつ、小さくなっていくのです。
そして女の子は大人になり、
家を出て新しい家族を迎えます。
ろうそくもまた、一緒に新しい家族を照らし続けます。
そして、時間が過ぎ、ろうそくに最後の火が灯される日が
やってきます。
1ページ、1ページ、かみしめるように
ゆっくりと絵を眺めながら読んでいくような絵本。
なんといっても素敵なのは、
絵のあたたかさでしょう。
暗がりをやさしく照らす色合いは
見ているだけで、ひきこまれそう。
ずっと見ていたい、そんな気がします。
ちょっぴり哀愁を帯びたストーリーも
心にうるおいを与えてくれる気がします。
そして同時に、自分のお母さんのことを
思い出す人もきっと少なくないはずです。
ろうそくに込められた母の想いは
その娘から、さらに子どもへと
引き継がれていきます。
「きっと、こんなふうに、母は自分を見てくれていたのかなぁ」
そんなことを想いながら
ページをめくりました。
これは著者からのメッセージですが
「そっと見守ってくれる」「そっと寄り添う」存在として描かれたろうそくは
きっと私たちの母であり、父であり、家族や恋人、友人のことなんだと想うのです。
親が子を想い、子が母を想う。
誰かを想うやさしさ。
そんなあたりまえのありがたさに
ふと気づかせてくれる絵本です。
これからお母さんになるあの人に。
あなたのお母さんに。
そして、あなた自身に。
この本がきっと、
あたたかい気持ちを届けてくれるでしょう。
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